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鼓室形成術の術後聴力の成績判定については、1987年に初めて臨床耳科学会の用語委員会より基準が提案され、その後本邦においては、現在に至るまでこの基準により成績の判定が行われている。しかしながら近年、鼓室形成術などの聴力改善手術に関する技術の改良や、人工耳小骨、フィブリン糊など資材の開発は画期的な進歩をとげている。また社会のニーズも高くなり、社会的適応レベル(4 0 d B )など過去に示された聴力改善の判定基準が、現状においては緩すぎるとの指摘も少なくない。
そこで現在の社会や医療の水準に合せた基準の見直しを図り、新たな手技の開発を含めて鼓室形成術における術後聴力の成績向上に努める必要があるとの認識より、今回新たな基準案(聴力改善の成績判定案2000 )を提出した。
従来の基準をもとに用語委員が行った様々な中耳疾患に対する鼓室形成術の術後成績を種々の角度より検討し、さらに欧米での成績判定との整合性を考え、以下のような観点を重視した新たな基準案の概略を示す。
| ☆気導・骨導差 | A -B gap : | 15dB | (従来:20dB ) |
| ☆聴力改善 | Hearing gain : | 15dB | (従来:15dB ) |
| ☆聴力レベル | Hearing level : | 30dB | (従来:40dB ) |
このうち一つ以上を満たすもの、すなわちいずれかに該当するものを成功例とする。
この基準案における付帯事項として以下の点を明記する。
表1 は用語委員が行った鼓室形成術の成績である。聴力の改善しやすい鼓膜正常な耳小骨奇形(・型変法と・型変法の42 例)の例から、慢性穿孔性中耳炎ならびに中耳真珠種(M y r i n g o から・型変法までの1 00 例)、鼓室硬化症(硬化部位別に分類した1 00 例)、そして現時点では最も術後成績が不良である全面癒着を呈する癒着性中耳炎(59 例)の術後の成績を示す。これら3 03 例は3 名の用語委員会委員の各々の手術成績である。この成績をもとに今回の基準案を作成した。
表1 A-B gap gain level

しかしこの基準案にもいろいろな問題が含まれている。これを土台とし各方面から意見が広く寄せられ、より適正な聴力成績の基準が作られることを期待し、今後さらに検討を続けたい。