平成20~23年度理事長ご挨拶

喜多村 健

平成23年3月11日の東日本大震災から、ほぼ1年経過致しましたが、まだ、復興・復旧への道のりは遠いと言わざるを得ません。被災された方ならびに会員の皆様方には心からお見舞い申し上げ、1日も早い回復を祈っております。大震災に係わる事で、学会としてサポート出来る事項については、今後も最大限の努力を致したいと考えています。

平成23年の学術講演会は、東北大学の小林俊光教授が会長で、仙台市で開催予定でありましたが、東日本大震災の影響を考慮して、会場を沖縄県宜野湾市に移して11月24日~26日開催されました。小林会長にとりましては、苦渋のご決断であったと推察しておりますが、演題数は過去最大で、400題に手が届くほどとなりました。充実した特別企画も相まって、沖縄という遠隔地ではありましたが、日本の耳科学の現状について充分な議論が出来、学会は成功裡に終わりました。学会運営に携われた小林会長ならびに東北大学の皆様、そして会員の諸賢に心より御礼申し上げます。

さて、その他の事業についてご報告致します。日本耳科学会は、法人格を有する団体である一般社団法人日本耳科学会として、平成24年2月3日に設立し新たな一歩を踏み出しました。これは、法人法の要件を満たせば、登記のみで、一般社団・財団法人を設立して法人格を取得出来る新公益法人制度が、平成20年12月に施行されたのに基づき、会員の皆様方にご相談、ご検討頂いて進めた事業であります。従来の学会は任意団体でありましたが、今後は法人格を持つ公的に承認された団体として活動することになります。このホームページにおいても、「一般社団法人日本耳科学会発足について」の項目で、制度上の変更点を掲載していますのでご参照下さい。

専門医制度につきましては、社団法人日本専門医制評価・認定機構によると、基本領域、Subspecialtyとして認定された専門医、今後認定を検討する分野と、3グループに分けて、現在、議論されています。耳科学に関しましては、いまだ、議論の対象とはなっていませんが、耳科学の発展、専門性の向上の為には、基本領域の耳鼻咽喉科の中でのSubspecialtyに分類される専門領域として、避けて通ることの出来ない課題であります。学会としては、平成21年に開催された第19回学術講演会のパネルで「耳科診療のあり方」として、問題提起を行い、その後「耳科専門医制度に関する委員会」にて、議論を進めています。現在、耳科専門医(仮称)、耳科指導医(仮称)、認可研修施設についての認定基準の案を作成し、評議員(旧耳科学会)の方にはご案内し、ご意見を賜っています。今後、さらに多くの会員の方からご意見を頂戴し議論を進めたいと考えています。

学会が、学術講演会の会長と共催する教育プログラムは、平成22年より正式にスタートし、今年で3回目となります。この教育プログラムは学会のモーニングセミナーとして開催されますが、今年はセミナーを担当する講師を公募しています。耳科学の発展、情報の共有、若手医師の教育について、学会が主導する事業として位置づけています。多くの方のご参加を期待しています。

平成24年の第22回学術講演会は、名古屋市立大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学村上信五教授が会長で、10月4~6日名古屋市にて開催されます。さらに、長崎市で開催される以下のふたつの国際学会、The First Asian Otology Meeting & The 3rd East Asian Symposium on Otology(平成24年6月2~3日)、The 9th International Conference on Cholesteatoma and Ear Surgery(平成24年6月3~7日)を後援しています。是非、多くの会員が出席ならびに演題を発表されるようお願い致します。

今年度も理事ならびに監事、参与などの方々と共に、耳科学会の発展に寄与する事業、活動を展開する所存です。会員の皆様方のご支援を今後とも宜しくお願い申し上げます。